代表挨拶

代表挨拶

全国てんかんセンター協議会(JEPICA)は、全国のてんかんセンターが相互に緊密な連携を図り、全国的なてんかん医療とケアの質の向上を達成することを目的として、平成25年2月10日に設立されました。

てんかんは全年齢層(特に小児と高齢者)で発症し、治療には長期間を要します。また、主症状であるてんかん発作以外の症状が併存することも少なくありません。てんかんという病気は正しく認識されているとはいえず、誤解や偏見のなかで病気をもちながら成長し、あるいは成人期に突然に発症した人には、教育や職業・社会生活を営んでいくうえで少なからぬ障碍があります。てんかんは、このため、診療科を越えた治療、多様な側面からのケアが必要とされます。
診断と治療においては、一次、二次、三次の滑らかな連携が欠かせません(図1)。限られた物的(長時間脳波や高度な診断機器・手段、薬物のみならず外科治療や食事療法、リハビリテーションなどの提供)あるいは人的(専門医やメディカルスタッフ、コーディネーター)な医療資源を有効に活用し、アクセスと効率性と質を担保しながら患者に適切な医療を提供するためのシステムです。救急医療やリハビリテーション、併存症の治療はシステム横断的に取り組まれます。
この医療システムが、さらにケア・福祉・行政のシステムと連携することによって、病気への取り組み、日常・社会での生活に適切なサポートを提供することがはじめて可能になります(図2)。
このような医療とケアのシステムは、さらに時間的な経過と地域性を考慮に入れ、医療が滑らかに継続するための工夫を必要とします。以上のすべてを支えるのは、教育(医療専門職のみならず、福祉や教育・雇用にかかわる人、一般の人、そして患者さんと家族)と適切な法・制度です。そして個々の人の情熱がこれらを後押しします。

JEPICA は、てんかん医療・ケアの構造と課題を上記のようにとらえ、てんかんセンターの基盤を確固とし、てんかんセンターが何をすべきかを考え、研究し、活動していきます。てんかんをめぐるさまざまな活動、特にてんかん学会をはじめとする諸学会やてんかん協会等の当事者団体、福祉や行政の諸機関等とは適切に連携し、よりよい医療とケアの提供のために貢献していきたいと考えます。
高橋前代表に引き続き、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

令和3年3月1日
全国てんかんセンター協議会
現代表  中川 栄二
前代表  高橋 幸利

 

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